日本では季節性インフルエンザウイルスは、例年は12月から3月頃に流行します。インフルエンザウイルスは低温で乾燥した空間で比較的長時間にわたって生存し、感染力を保持しやすいと考えられるため、特に空気が乾燥している・気温が低い1月~2月頃に特に流行がみられます。
一方、新型コロナウイルスに関しては、第7波のピークは暑い夏の期間でしたが、基本的にはインフルエンザウイルスと同様に気温が低い・湿度が低い条件の時にひろがりやすい性質があります。
このことからインフルエンザ・新型コロナともにこの冬に流行する可能性が心配されます。
新型コロナウイルスの流行が始まった2020年以降、懸念されたほどインフルエンザの流行は見られませんでした。その原因として、みなさまの衛生に関する意識の高まりがあったと思われます。マスク・手洗いをはじめとする感染対策が功を奏した面があったと考えられます。また、ほかの考え方としてウイルス干渉の影響が考えられました。別々のウイルス同士でお互いに影響を及ぼしあうという考え方で、新型コロナウイルス感染すると免疫系が活発に働きインフルエンザウイルスをブロックして感染が減るのではないかという説です。
しかし今年、南半球のオーストラリアでは新型コロナとインフルエンザの同時流行が起こりました。また新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時感染により重症化率・死亡率が上昇することが報告されています。この冬の日本におけるふたつのウイルスの流行についてはまだ十分予測できません。しかし海外からの渡航規制が緩和され、インフルエンザについてはここ2年あまり流行しなかったことでインフルエンザに対する免疫が低下している心配があり、新型コロナウイルス感染もここへきて緩やかながら増加してきていることから、両方のウイルスの感染流行が懸念されます。
10月以降インフルエンザワクチン接種が開始されています。コロナウイルスワクチンについてはオミクロン対応2価ワクチンが使えるようになり、現在はBA.4-5対応型が供給されています。これまでインフルエンザワクチンとコロナウイルスワクチンは2週間あけて接種しなかればなりませんでしたが、副反応が強くなる心配・効果が薄れる心配がないことが分かってきて、この秋から同時接種も可能となりました(もちろん別々の日に接種しても構いません)。流行期の前にそれぞれのワクチンを接種して流行に備えましょう。きのしたクリニックではどちらのワクチンも接種が可能です。受診歴のない方もどうぞお気軽にご相談・お問い合わせください。