便潜血検査で陽性だった…
健康診断や人間ドック、あるいは大腸がん検診で行われる「便潜血検査」では、肉眼では分からない微量の血液を検出することができます。
便潜血検査が陽性になる確率は5~7%程度と言われています。便潜血検査により、進行がんの90%以上、早期がんの約50%、腺種などポリープの約30%を見つけることができ、その結果、大腸がんの死亡率を約60%、大腸がんになるリスクを46~80%下げることが報告されています。結果が陽性判定であった場合には、大腸カメラでの精密検査が必要になります。便潜血検査で陽性だった方が大腸カメラ検査を受けると、約30%で前がん病変である大腸ポリープが、数%で大腸がんが見つかります。 またそれ以外にも、潰瘍性大腸炎、大腸憩室症、痔といった病気が見つかることもあります。
便潜血陽性だった、大腸がんがあるかもしれない、でも検査は嫌だし…。
そんな気持ちになりますよね。でも便潜血陽性は大腸の病気を早期に見つけるチャンスと前向きにとらえていただきたいです。
便潜血陽性を指摘されても大腸内視鏡による精密検査を受けない、精検受験率の低さが問題になっています。大腸がんは早期発見・早期治療により、予後の改善が期待できる病気です。便潜血検査で陽性だった方は、お早目に当院にご相談ください。
当院では、大腸カメラ検査に加え、日帰りでの大腸ポリープ切除に対応しております。
便潜血陽性の原因
便中に混入した血液(ヒトヘモグロビン)を検出します。上部消化管(食道・胃・十二指腸など)からの出血や食事の影響はうけず、大腸からの出血の有無を確認できます。便潜血検査で陽性判定であった場合、大腸がんや大腸ポリープ、いぼ痔、切れ痔などの病気が疑われます。
便潜血陽性から考えられる主な病気
大腸ポリープ
大腸粘膜の表面の層に隆起するポリープです。大きく腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられ、このうち腫瘍性ポリープに分類される腺腫は、がんになる可能性があります。
がん化のおそれがあるポリープを切除しておくことは、大腸がんの予防になります。
症状として血便、粘液便などが挙げられますが、ほとんどの大腸ポリープは無症状です。
大腸がん
良性のポリープががん化して発生するタイプと、正常な細胞ががん細胞へと変化して発生するタイプに分けられます。
早期にはほとんど無症状です。進行すると、血便、腹痛、便秘と下痢の繰り返し、便が細いといった症状が現れることがあります。
潰瘍性大腸炎
大腸粘膜の表面の層にびらんや潰瘍ができる病気です。良くなったり悪くなったりを繰り返す難治性の炎症性腸疾患の1つであり、クローン病とともに厚生労働省により難病の指定を受けています。
主に血便、下痢、腹痛などの症状が見られます。直腸から結腸全体まで病変が拡大することもあります。
大腸憩室症
便秘に伴う内圧の上昇、加齢などを原因として、腸壁が外側へと押し出され、小さな部屋を形成します。
憩室があることだけでは無症状ですが、憩室内で炎症や出血を起こすことがあります。すると、下血、タール便、排尿困難、尿に便が混じるといった特徴的な症状が出現します。
切れ痔
排便時のいきみ、慢性的な下痢によって肛門が傷つき、皮膚が裂けた状態です。
排便時の痛み、肛門狭窄、排便困難などの症状が見られます。また、切れ痔を繰り返すことで、肛門ポリープという突起物が形成されることがあります。このポリープはいぼ痔とはまったく異なるものです。
便潜血で一回だけ陽性だった場合
便潜血検査で二回のうち一回だけ陽性だった、ということもあるかと思います。ただ、これを「病気が治った」あるいは「もう一回の方の検査が間違っていた」とは捉えないでください。どのような疾患でも、常に便から血液が検出できるわけではありません。一回でも陽性判定が出れば、大腸がんをはじめとする消化管の病気である可能性があると言えます。決して甘く見ず、お早目に大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
便潜血で陽性が出たら必ず検査を
便潜血検査で陽性判定が出た場合には、大腸がんをはじめとする消化管の病気を疑い、精密検査として大腸カメラ検査を受けましょう。
当院では、日本消化器内視鏡学会専門医である院長が、高性能の内視鏡を用いて丁寧に検査し、画像を見ながら分かりやすい言葉を使って説明します。また、ウトウトとした状態で検査を終えられる、鎮静剤の併用が可能です。なお、院内に前処置室と専用のトイレをご用意しておりますので、読書やテレビ鑑賞などをしながら、安心して下剤の服用・前処置を行っていただけます。
※ご自宅で下剤を飲み、前処置を済ませてからご来院いただいても構いません。