便の色や形で分かる身体の変化
洋式のトイレがほとんどとなった今、自分の便の状態を見る機会はなかなかありません。実は、便の色や形には、身体、特に消化器の健康状態を判定するヒントが隠れています。
下痢や便秘は、感覚で分かりますが、色・形については、意識して見なければ分かりません。
時々で結構ですので、ご自身の便の状態を確認してみる習慣を身につけておきましょう。病気を早期に発見するきっかけになることもあります。
健康な便って?
便にも、「理想の状態」というものがあります。一般に、以下のような便だとお考えください。
- 茶色~黄土色
- バナナ型(太く、ブツブツ切れていない)
- 1回の排便で1~3本くらい出る
- いきまなくても出てくる
便のチェックするべきポイント
排便回数
排便回数は個人差が大きくなります。
1日に3回~1週間に3回の範囲におさまっていれば問題ありません。
便の量
食べる量・食べ物の種類によって異なりますが、平均は1日100~200グラム程度となります。ただ、便の重さを図るのは困難です。外見上、バナナ1.5~2本分あれば、便の100~200グラムに相当するとお考えください。
便の性状
健康な便は、半練り状になっています。
硬い、ドロドロしている、パシャパシャしている、ウサギの糞のようにコロコロしているといった場合には、注意が必要です。
特に、血が混じっている場合にはすぐにご相談ください。
便のにおい
健康であっても、便はにおいます。ただ、特にご自身の便は、顔をしかめるような悪臭にはなりません。
動物性タンパク質を多く摂ったとき、ストレスを感じているとき、運動不足のとき、直腸がんなどの疾患があるときなどは、嫌なにおいが強くなります。
便の色
理想の色は茶色~黄土色です。それ以外にも、身体の状態によってさまざまな色に変化します。あくまで目安ですが、以下の表をご覧ください。
便の色 | 考えられる原因 |
---|---|
黄色 | 牛乳の飲み過ぎ、下剤の服用 |
茶褐色 | 食べ過ぎ、飲み過ぎ |
黒色(タール便) | 鉄剤の服用、胃がん・大腸がん、胃・十二指腸潰瘍、ピロリ菌感染症、 非ステロイド性消炎鎮痛剤・ステロイド薬の使用、イカ墨料理 |
濃い褐色 | 便秘、肉類の食べ過ぎ、ココアやチョコレートの食べ過ぎ |
緑色 | 消化不良、急性腸炎、クロロフィルを含む食品(緑黄色野菜など) |
赤褐色 | 大腸がん、大腸ポリープ、大腸憩室炎、虚血性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病など |
鮮やかな赤色 | いぼ痔、切れ痔、肛門裂傷 |
灰白色 | バリウム検査、肝臓疾患、腸結核、すい臓疾患 |
こんな便には要注意!
病気が隠れているかも…
黒色便(タール便)
黒い便の中でも特にドロドロとしたタールのような便は、上部消化管からの出血が疑われます。考えられる病気としては、胃・十二指腸潰瘍、ピロリ菌感染症、小腸の病気などが挙げられます。
赤い便
赤色が混じっているときには、下部消化管からの出血を疑います。具体的には、大腸がん、大腸ポリープ、大腸憩室炎、虚血性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、いぼ痔、切れ痔、肛門裂傷などが挙げられます。
出血部が肛門に近くなるほど、便に付着する赤色が鮮やかになります。
灰白色
灰白色(かいはくしょく)というと難しいですが、要は白っぽい便です。胆汁色素の流れが低下していることが考えられます。肝臓疾患、腸結核、すい臓疾患などが疑われます。
バリウム検査を受けたあとも、同様に白っぽい便が出ます。